働きたくても働くことのできない人への場づくりー支援つき就労ユニバーサル就労

2017年11月18日 08時49分 | カテゴリー: 活動報告

障がいを持つ方への法定雇用や障がい者自立支援制度による一般就労に至らない就労継続支援、2015年度からは生活困窮者自立支援制度が始まり、生活保護に至る前の方への就労支援等、縦割りでの働く支援制度ができてきました。しかし静岡県富士市は市民それぞれが生きがいを持って働ける社会づくりのため、既存の制度にはない方々も包摂して、働きたくても働くことができないあらゆる市民対して働く環境整備をしていこうと、支援つきの就労、ユニバーサル就労を2017年度からスタートさせました。これは、2014年に障がいを持つ親の会が19000余の署名を集め、ユニバーサル就労に積極的な企業誘致を求める要望書を提出したことに端を発します。これを議会が議連を作って受け止め、ユニバーサル就労の重要性を再認識、市長に促進計画の策定を提案しました。そして市とともに事業案をつくることとなり、並行して議員提案による「富士市ユニバーサル就労の推進に関する条例」が制定されました。

11月14日、生活支援課長の白川さん、担当の松葉さん、就労支援センターの委託を受けている(株)東海道シグマの三好さん(統括責任者)からお話を伺いました。窓口はユニバーサル就労相談窓口1本で、ハローワークや障がい者就労支援施設への振り分け後、支援つき就労必要な方はユニバーサル就労支援センター(最初の窓口と同じ建物にあります)でのサポートとなります。センターは本人と受け入れる企業の支援をします。人材紹介ではなく、その人の働きづらさは何か、企業に理解してもらい、オーダーメイドの職場環境をつくるのがセンターの仕事であるとのことです。今年度6回行った企業説明会には78社もの企業が参加し、現在協力企業は32社、仕事の切り出しをする業務分解を進めているとのことでした。また、センターは商工会の説明会参加の70社やものづくり企業342社、セブンイレブン等量販店、農業者を精力的に訪問、市役所内でも全庁的に業務を切り出し、雇用受け入れを行っているのには驚きました。このユニバーサル就労に際しては仕事の内容・働き方を記した「コミューター(継続的に通う人、無償有償がある)確認書」をかわし、センターがコミューターに保険を付けます。有償コミューターはまだいないとのことですが、昼食代や交通費の費用相当分は企業もちとのことでした。条例で事業者の努力義務を定めてはいますが、謝金を求める企業は1社もないとのことにはまたも驚きました。これらの財源としては、生活困窮者自立支援制度の就労準備支援の補助金は入っていますが、市独自の全般的な就労困難者の就労支援や企業開拓、協力企業の支援、広報等の事業に関しては、国の地方再生の交付金を活用し、1/2の財源を確保しています。

生活困窮者自立支援制度において、就労をゴールにすると就労しそうな人しか受け付けなくなってしまう危惧があることを困窮者支援を続けているNPO法人「抱撲」理事長の奥田友志さんから聞きました。また、就労準備支援事業は1年の期限があることの不都合さも聞いています。そうしたなかで、富士市が働く場をつくることが自分の有用感につながると、それぞれの働き場創出の実現に向けて、国の制度を取り込んで市独自にユニバーサル就労というしくみをつくっていることに感激しました。

座間市では10月から生活困窮の方の就労準備支援事業が始まったばかりです。対象者として収入基準に準ずるものの幅を持って取り組んでいる様子が見受けられるようなので、富士市のようなユニバーサル就労の観点を持ちながら、より多様な困難な方への支援につながることを望みます。