効果的な介護人材育成支援を!

「制度残ってもサービスなし」
淑徳大学社会福祉学科の結城康博教授の学習会で学んだ言葉でした。2019年1月~12月の介護事業所の倒産は111件、過去最大の2017年度と同数です。8割は小規模・零細事業所で、訪問介護事業所が急増しました。大きな要因は人手不足・ヘルパー不足です。2018年度の介護分野の有効求人倍率は3.95倍で、全職種の1.46倍を大きく上回っています。

   神奈川ネットワーク運動が昨年署名要望活動を行った、次期の制度改定に当たり介護保険制度の保険給付から、要介護1・2の訪問介護サービスの生活援助と通所介護サービスを外さないことと、ケアプラン費用を外さないことは、厚労省の社会保障審議会では次期改定は見送られました。しかし、この、給付から外す制度改定案はその次の制度改定時にも出てくることとなりますし、利用者サービスは抑制の方向です。そして、サービス提供の事業者の報酬は減額方向、報酬増の手立ては、たくさんの書類を作成し、メニューを増やす加算方式の処遇改善しかありません。一方で、その努力は、利用者さんの利用料金に影響を及ぼします。

 この間の介護報酬の切り下げの中、事業所本体の体力が弱くなってきています。昨年12月の社会保障審議会、介護給付費分科会に出された、2018年度の収支差率では、居宅サービスは特定施設入居者生活介護以外すべてが前年度のマイナスとなっています。しかも、離職率は2017年度のデータでは16.7%、全産業を上回っています。そして、6割以上が3年未満でやめています。

 これからのさらなる高齢化の進行で、ますます介護サ―ビスの需要が増える中では、国が介護報酬を上げることが必須であり、自治体では、介護人材の育成、定着支援をはかり、人材を確保していくことが必要です。現在、介護報酬を増やすにはメニューをより多く取り組むことでの加算方式なので、資格取得は事業所の体力をつけることにつながります。この観点からも、資格取得研修への効果的な後押しが重要です。

 そこで、今回の一般質問では、新年度の介護人材育成支援助成金事業が拡充されているとはいえ、効果的な制度にしていく必要があることを問いました。

今年度まで、この助成金対象は介護職員初任者研修のみ、助成は上限3万円で1/2まででした。2016年度2017年度は申し込みがなく、2018年度実績が2件ということから2019年度予算は21万円でした。しかし、2020年度から、介護職員初任者研修4万5千円までで5人分、介護支援専門員実務者(ケアマネージャー)研修3万3千円までで20人分、介護福祉士受験費用1万2千円までで5人分、合計94万円と増額となりました。これまでの個人への助成から、事業所定着をはかるため事業所への3/4の助成としたとのことです。(事業所への助成は良策ですが、初任者研修が6万円を想定し、3/4は4万5千円というのは厳しいものがあります)

 しかし、この資格取得の助成金は、後払いになります。これまで事業所に周知はしているとのことでしたが申し込みは2018年に2件あっただけです。介護職の報酬が低いこともあり、従事者本人が研修費用を支出するのは厳しかったのではないか、事業所が受講料の貸し付けをしたり、助成金を出して資格取得を進めることがないと、この育成支援の助成金への申し込みは難しかったのではないかと考えます。担当課は事業所の資格取得の助成制度は把握していないとのことでしたが、今後、人材育成を進めるには、把握し、事業所での資格取得助成を促していく必要があります。

 また、東京都は、介護人材育成に力を入れ補助金を付けているようです。人材育成センターを設置している自治体もあり、神奈川県内に比べ資格取得の助成金が高めです。都内でも少ない金額の自治体には申し込み人数が1桁のところもある一方、高い金額の自治体には3桁の申し込みがあります。人材育成センターのある練馬区は、初任者研修に9割、8万円まで助成で昨年度実績79人、実務者研修も9割10万円までで140人、介護福祉士受験料と登録手数料助成で56人です。八王子市では初任者研修10万円まで、実務者研修受講料15万円まで、介護福祉士資格取得費用6万円までで合計実績83人(実人数71)とのこと、日野市では現在までの今年度実績、初任者研修10万円までに13人、介護福祉士実務者15万円までに32人、介護福祉士資格取得11万3千円までに20人、介護支援専門員資格取得16万4千円までに1人ということでした。助成金額が多い自治体に介護人材が集まっていきます。

介護人材育成には、事業所での資格取得助成制度の創設とともに、自治体担当課に、介護従事者の相談窓口と定着支援機能の設置が有効です。そして、県に介護人材育成の補助金創設を要望するとともに、助成金額の増額が求められます。